矯正治療中の口内炎、あなただけではありません
矯正治療を始めてから、口の中に痛みを感じることはありませんか?
食事のたびに痛みが走る、会話中に違和感がある・・・そんな症状に悩まされている方は少なくありません。実は、矯正装置が原因で口内炎ができることは珍しくなく、多くの患者様が同じような経験をされています。ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、装置が口の中の粘膜に触れることで、どうしても刺激が生じてしまうのです。
しかし、適切なケアと生活習慣の見直しで、口内炎の痛みは大幅に和らげることができます。この記事では、矯正治療中に発生しやすい口内炎の原因から、具体的な対処法、そして予防のための生活習慣まで、日本矯正歯科学会認定医の視点から詳しくお伝えします。

矯正中に口内炎ができやすい理由
矯正治療中は、通常よりも口内炎ができやすい状態になっています。その主な原因は「カタル性口内炎」と呼ばれるタイプの口内炎です。
装置による物理的刺激が主な原因
矯正装置が粘膜に当たって傷ができ、そこから炎症を起こすことで発生するのがカタル性口内炎です。ワイヤー矯正の場合、ブラケットやワイヤーが頬の内側や唇の裏側に触れることで摩擦が生じます。特に食事中や会話の際に、上下の唇の裏側に口内炎ができやすいという特徴があります。
マウスピース矯正でも同様の問題が起こります。マウスピースの縁が粘膜に当たって傷を付け、口内炎を発症させることがあるのです。上下の唇だけでなく頬に口内炎ができるケースもあり、広い範囲にわたって横長の口内炎ができる場合は、強い痛みを生じることもあります。
治療初期は特に注意が必要
矯正を始めたばかりの時期は、お口が装置に慣れていないため、口内炎が発生しやすくなります。
ガタガタの歯並びに装置が付くと、凹凸によって一部分だけが粘膜に強く当たってしまい、同じところに繰り返し口内炎ができてしまうこともあります。ただし、歯並びが整ってきて、お口が装置に慣れてくると口内炎はできにくくなっていきますので、初期の段階を乗り越えることが大切です。
装置以外の原因も考慮する
矯正装置が原因ではない口内炎も存在します。栄養不足やビタミン不足が原因で起きる「アフタ性口内炎」は、ストレスや睡眠不足などによる免疫力の低下でも発生します。白くて丸い形をしていることが特徴的で、通常約10日で自然に治癒します。
また、口内が不衛生なために発生する「カンジダ性口内炎」、ヘルペスやクラミジアなどのウイルスが原因で起こる「ウイルス性口内炎」、金属アレルギーが原因で発生する「アレルギー性口内炎」など、様々な種類があります。これらの口内炎は矯正装置とは直接関係がありませんが、矯正治療中は口内環境が変化するため、発症リスクが高まる可能性があります。
痛みを和らげる5つの対処法
口内炎ができてしまったら、適切な対処で痛みを和らげることができます。ここでは、矯正治療中の口内炎に効果的な5つの方法をご紹介します。
1. 矯正用ワックスで刺激を軽減
矯正装置による刺激が原因の場合、「矯正用ワックス」の使用が最も効果的です。
矯正用ワックスは矯正装置を覆う粘土のような素材で、口内炎の痛みの緩和と再発予防の効果があります。粘膜と干渉する部分にワックスを塗布することで、摩擦を減らして痛みを抑制できます。食事や歯磨きの前には外し、終わったら再度付け直します。飲み込んでしまっても、お身体に害はないので安心してください。
2. 市販薬を活用する
市販されている口内炎用の薬を使うと、自然治癒を待つよりも早く治る可能性があります。市販薬は「軟膏タイプ」「貼るタイプ」「スプレータイプ」の3種類にわかれます。一般的には軟膏タイプ、触れると痛い場合は貼るタイプもしくはスプレータイプがおすすめです。
軟膏タイプは口内炎部分に直接塗布することで炎症を鎮めます。貼るタイプのパッチは即効性があり、どうしてもすぐに痛みを軽減したい場合に効果的です。スプレータイプは広範囲の口内炎や、触れるのが難しい場所にも使いやすいという利点があります。
3. 矯正装置の調整を依頼する
口内炎がなかなか治らない場合や、何度も再発する場合は、治療を受けているクリニックで矯正装置を調整してもらいましょう。
矯正器具と粘膜の摩擦を減らすように調整できる場合があります。飛び出たワイヤーが原因で口内炎ができている場合は、ワイヤーを調整することで問題を解決できます。マウスピース矯正の場合、アライナーの淵が当たって傷になってしまうときは、少しだけアライナーを切ることも可能です。眉毛を整えるような小さなハサミで切り、爪やすりでギザギザ部分をなめらかにすると良いでしょう。

4. 刺激の少ない食事を心がける
カレーやキムチなどの刺激が強いもの、レモンなど酸っぱい食べ物、熱いものは口内炎の悪化を招きます。口内炎ができているときは、シチューやリゾット、茶碗蒸しやゼリー、ヨーグルトなどのとろみがあるものがおすすめです。
脱水症状を防ぐためにも水分補給はしっかり行いましょう。また、口内炎ができると食事がしづらくなりますが、栄養不足は口内炎の治癒を遅らせる原因にもなるため、できるだけバランスの良い食事を心がけることが大切です。
5. 口内炎を触らない
口内炎をむやみに触るべきではありません。
口内炎に刺激を加えるとさらに大きくなる可能性があり、痛みが強まります。舌や指で触らないように気をつけ、適切なセルフケアで口の中を清潔に保つことも大切です。気になってしまう気持ちは分かりますが、触らずに自然治癒を待つことが、結果的に早く治る近道となります。

口内炎を予防する生活習慣のポイント
口内炎の発生を予防するためには、日々の生活習慣の見直しが重要です。ここでは、矯正治療中に特に意識していただきたい予防策をご紹介します。
栄養バランスを考えた食事を摂る
口内炎予防として、摂取したい栄養素を意識して取り入れることが大切です。皮膚や粘膜の健康維持に役立つビタミンB群は特に重要で、ビタミンB2はブロッコリー、納豆、チーズ、レバー、ウナギなどに含まれています。ビタミンB6はささみ、大豆、マグロ、バナナ、アボカドなどに豊富です。
ビタミンCにはトマトやピーマンなどの緑黄色野菜、イチゴ、オレンジ、レモン、キウイなどがあり、抗酸化作用があり、口の中の健康を保つために重要です。鉄分不足は口内炎の原因の一つとされているため、赤身の肉、レバー、ほうれん草、豆類などから鉄分を十分に摂取しましょう。
亜鉛は牡蠣、牛肉、卵、ナッツなどに含まれ、免疫機能を維持し、口の中の粘膜を健康に保つために必要です。タンパク質は肉、魚、豆腐、豆類などに代表され、体の組織を修復し、健康を維持するために欠かせません。
口腔内を清潔に保つ
矯正治療中は、通常よりも丁寧な口腔ケアが必要です。
食後には必ず歯を磨き、フロスを使用するようにしましょう。マウスピース矯正の場合、食事のあとに歯を磨かずにマウスピースをつけると、汚れが内側に閉じ込められたままとなり、細菌が繁殖しやすくなります。また、寝ている間は唾液の分泌量が少なくなるため、細菌が増えやすい状態になります。
マウスピースを取り外したら水洗いし、可能であれば専用の洗浄剤を使ってしっかりお手入れしましょう。きれいな状態を保つことで、口内炎だけでなく虫歯や歯周病の予防にもつながります。ワイヤー矯正の場合も、装置の周りに食べ物のカスが残らないよう、歯間ブラシやタフトブラシを使った丁寧なケアが大切です。
ストレスと疲労をため込まない
栄養の偏りや睡眠不足、さらには日常のストレスが重なると、体の免疫力が低下しやすくなります。このような状況で口内の粘膜が刺激を受けると、口内炎が発生しやすくなるのです。
矯正治療中には、治療そのものがストレスとなる場合もあります。このストレスが免疫力の低下を招き、結果的に口内炎の発生頻度が増す原因になることもあります。日ごろから睡眠や食事に気をつけて、体調を整えることが大切です。しっかり休んで、免疫力を保つことで、口内炎の予防にもつながります。
定期的に歯科検診を受ける
矯正治療中は、定期的に歯科医院を受診し、装置の状態や口腔内の健康状態をチェックしてもらうことが重要です。痛みが強い場合や、10日以上口内炎が続く場合は、早めに歯科医院や口腔外科を受診し治療を受けましょう。
大阪大学歯学部附属病院の矯正科に在籍していた経験から申し上げますと、従来の治療方法では改善が難しい患者様や、他の診療科と連携しなければ治療ができない患者様も多く見てきました。口内炎が長引く場合や、何度も繰り返す場合は、他の病気が原因の可能性もありますので、専門家に相談することをおすすめします。

矯正治療と口内炎、上手につき合うために
矯正治療中の口内炎は、多くの患者様が経験する一般的なトラブルです。しかし、適切なケアと生活習慣の見直しで、痛みを和らげ、発生を予防することができます。
矯正用ワックスと市販薬の活用
矯正装置による刺激が原因の口内炎には、矯正用ワックスが効果的です。普段から矯正用ワックスを使うことで、口内炎を予防しやすいこともメリットです。また、市販の口内炎用の薬を使って治療すると、自然治癒を待つよりも早く治る可能性があります。
栄養と生活習慣の見直し
ビタミンB群、ビタミンC、鉄分、亜鉛、タンパク質など、口内の粘膜を健康に保つための栄養素を意識して摂取しましょう。また、ストレスや疲労をため込まず、十分な睡眠をとることで、免疫力を維持することが大切です。
口腔内の清潔さを保つ
食後には必ず歯を磨き、フロスを使用して口腔内を清潔に保ちましょう。マウスピース矯正の場合は、マウスピースの洗浄も忘れずに行ってください。ワイヤー矯正の場合は、歯間ブラシやタフトブラシを使った丁寧なケアが必要です。
専門家のサポートを受ける
口内炎がなかなか治らない場合や、何度も再発する場合は、遠慮なく歯科医院に相談してください。矯正装置の調整や、口内炎の原因を特定することで、より快適な矯正治療を続けることができます。
三宮Lulu矯正歯科では、日本矯正歯科学会認定医としての知識と経験を活かし、患者様の10年先、20年先に貢献できる矯正治療をご提案しています。矯正治療中の口内炎に関するお悩みや、その他の不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。患者様の「不安」に徹底的に寄り添い、些細なご質問でもできる限り診療時にお答えしています。
まとめ
矯正治療中の口内炎は、適切な対処と予防で快適に管理することができます。矯正用ワックスや市販薬の活用、栄養バランスの良い食事、口腔内の清潔さの維持、ストレス管理など、日々の小さな積み重ねが大切です。
口内炎は矯正治療の一時的なトラブルですが、放置すると食事や会話に支障をきたし、生活の質を下げてしまいます。この記事でご紹介した5つの対処法と予防のポイントを実践することで、より快適な矯正ライフを送ることができるでしょう。
矯正治療は、あなたの10年後、20年後の人生を豊かにする大切な治療です。整った歯並びは、ご自身の歯をずっと使い続けるために不可欠なものです。口内炎というトラブルに負けず、理想の歯並びを目指して治療を続けていきましょう。
矯正治療中の口内炎や、その他のお悩みについて、もっと詳しく知りたい方は、ぜひ専門家にご相談ください。三宮Lulu矯正歯科では、無料矯正相談を実施しており、患者様一人一人に合わせた最適な治療とアドバイスをご提供しています。あなたの笑顔のために、私たちがサポートいたします。

著者情報
三宮Lulu矯正歯科 院長 竹内 優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会
Before
After
