裏側矯正とは?表側矯正との違いを解説
裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットと呼ばれる装置を取り付ける矯正方法です。「舌側矯正」「リンガル矯正」とも呼ばれています。
通常の矯正治療では、歯の表側に装置を付けるため、矯正中であることが周囲に分かってしまいます。しかし裏側矯正なら、装置が歯の裏側にあるため、外からはほとんど見えません。
人前に立つ機会が多い方や、見た目を気にする方にとって、この「目立たない」という特徴は大きな魅力となっています。
裏側矯正の7つの特徴とメリット
裏側矯正には、表側矯正と比較していくつかの特徴があります。治療法を選ぶ際の参考にしてください。
1. 装置が目立たない
最大の特徴は、矯正装置が外から見えないことです。歯の裏側に装置をつけるため、笑ったり話したりしても装置が見えません。
人前に立つ仕事の方や、ビジネスシーンでの印象を大切にしたい方に特におすすめです。
2. 前歯を引っ込める効果が高い
裏側矯正は、表側矯正と比べて前歯を後方に引っ込める力がかかりやすい構造になっています。そのため、出っ歯(上顎前突)の治療に特に効果的です。
歯の裏側から力をかけることで、より効率的に前歯を引っ込めることができるのです。
3. 舌癖の改善に役立つ
舌癖(舌を前歯の裏側に押し付ける癖)がある方の場合、裏側矯正の装置が物理的な障壁となり、舌癖を防止する効果があります。
舌癖は歯並びに悪影響を与えることがあるため、この点は大きなメリットといえるでしょう。
4. 虫歯リスクが低減する可能性がある
意外かもしれませんが、裏側矯正は表側矯正と比較して虫歯のリスクが低くなる可能性があります。
歯の裏側は唾液の流れが多く、自浄作用が働きやすいためです。唾液には抗菌作用があり、虫歯の原因菌を洗い流す効果があります。
5. 歯のエナメル質を保護できる
表側矯正では、装置を外した後に歯の表面に白い脱灰(はくかい)跡が残ることがあります。裏側矯正ではこの跡が歯の裏側につくため、見た目に影響しません。
笑顔の美しさを保ちたい方にとって、これは大きなメリットです。
6. ハーフリンガル矯正という選択肢もある
上の歯は裏側、下の歯は表側に装置をつける「ハーフリンガル矯正」という方法もあります。
これにより、完全な裏側矯正よりも費用を抑えつつ、見た目への配慮と発音のしやすさのバランスをとることができます。
7. 多くの症例に対応可能
裏側矯正は、出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、ガタガタの歯並び(叢生)など、さまざまな症例に対応可能です。
ただし、症例によっては適応できない場合もあるため、専門医の診断が必要です。
裏側矯正のデメリットと注意点
裏側矯正には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意点もあります。治療を検討する際には、これらの点もしっかり理解しておきましょう。
発音への影響
装置が舌に触れる位置にあるため、特に治療初期は発音しづらくなることがあります。「サ行」「タ行」「ラ行」などが特に影響を受けやすいです。
ただし、多くの場合1週間〜1ヶ月程度で慣れてくるため、一時的な問題と考えられます。
どうしても発音への影響が気になる方は、ハーフリンガル矯正や他の矯正方法も検討してみるとよいでしょう。
舌の違和感や痛み
装置を装着した直後は、舌が装置に触れて違和感や痛みを感じることがあります。場合によっては口内炎ができることもあります。
これらの症状も通常は数週間で慣れてきますが、初期の不快感は表側矯正よりも強く感じる方が多いようです。
歯磨きの難しさ
裏側に装置があるため、歯磨きがやや難しくなります。装置の周りに汚れが溜まりやすく、目で確認しづらいため、丁寧なケアが必要です。
歯科医院では専用の歯ブラシや歯間ブラシの使い方を指導してもらえますので、しっかり習得しましょう。
治療期間がやや長くなる可能性
裏側矯正は技術的に難易度が高く、調整にも時間がかかるため、表側矯正と比べて治療期間がやや長くなる傾向があります。
ただし、個人差や症例によって異なりますので、詳しくは矯正専門医に相談してください。
費用が高めになる
裏側矯正は表側矯正と比較して、費用が高くなる傾向があります。これは装置の製作や調整に高い技術が必要なためです。
費用は歯科医院によって異なりますので、治療前によく確認しておくことが大切です。
裏側矯正が向いている人・向いていない人
裏側矯正は万能ではなく、向き不向きがあります。自分に合った矯正方法を選ぶために、以下のポイントを参考にしてください。
裏側矯正が向いている人
矯正装置を目立たせたくない方には、裏側矯正が最適です。特に以下のような方におすすめします:
- 接客業や人前で話す機会が多い方
- ビジネスシーンでの見た目を重視する方
- モデルやタレントなど、見た目が仕事に影響する方
- 結婚式や重要なイベントを控えている方
- 出っ歯(上顎前突)の改善を希望する方
- 舌癖がある方
矯正治療をしていることを周囲に知られたくない方にとって、裏側矯正は大きなメリットがあります。
裏側矯正が向いていない人
一方で、以下のような方は裏側矯正が向いていない可能性があります:
- 舌が極端に大きい方(装置と舌が頻繁に接触し、不快感が強くなる可能性)
- 極端な過蓋咬合(深い噛み合わせ)の方(装置が干渉する可能性)
- 歯並びの乱れが非常に大きい方(より強力な矯正力が必要な場合)
- 発音の明瞭さを特に重視する職業の方(アナウンサーなど)
- 費用を抑えたい方(表側矯正やマウスピース矯正の方が安価な場合が多い)
これらの条件に当てはまる方でも、症例によっては裏側矯正が可能な場合もあります。まずは矯正専門医に相談してみることをおすすめします。
裏側矯正の費用相場と治療期間
裏側矯正を検討する際に気になるのが、費用と治療期間です。具体的な数字を見ていきましょう。
費用相場
裏側矯正の費用は、一般的に表側矯正よりも高額になります。これは装置の製作や調整に高い技術が必要なためです。
一般的な費用相場は以下の通りです:
- フルリンガル矯正(上下両方とも裏側):80万円〜170万円程度
- ハーフリンガル矯正(上のみ裏側、下は表側):60万円〜120万円程度
ただし、これはあくまで目安であり、歯科医院や治療内容によって大きく異なります。また、初診料や検査費用、調整料、保定装置の費用なども別途かかる場合があります。
治療期間
裏側矯正の治療期間は、症例の難易度や個人差によって異なりますが、一般的には以下のような期間が目安となります:
- 軽度の症例:1年〜1年半程度
- 中程度の症例:1年半〜2年程度
- 重度の症例:2年〜3年程度
表側矯正と比較すると、調整の複雑さから若干治療期間が長くなる傾向があります。
また、治療後は「保定期間」と呼ばれる、歯並びを安定させるための期間が必要です。これは通常1〜2年程度続きます。
裏側矯正の選び方と歯科医院選びのポイント
裏側矯正は高度な技術を要する治療法です。成功の鍵は、適切な歯科医院と矯正専門医を選ぶことにあります。
専門資格を持つ矯正歯科医を選ぶ
裏側矯正は技術的に難易度が高いため、専門的な知識と経験を持つ歯科医師に治療を依頼することが重要です。
特に「日本矯正歯科学会認定医」や「日本舌側矯正歯科学会認定医」などの資格を持つ医師は、専門的な訓練を受けています。
日本の歯科医師のうち、日本矯正歯科学会認定医は3%にも満たないため、この資格を持つ医師を選ぶことで、質の高い治療を受けられる可能性が高まります。
症例数と実績を確認する
裏側矯正の症例数が多い歯科医院を選ぶことも大切です。経験豊富な医師ほど、様々なケースに対応できる技術を持っています。
可能であれば、過去の症例写真を見せてもらい、自分の症例に似たケースの治療結果を確認するとよいでしょう。
カウンセリングの質をチェック
初回のカウンセリングでは、医師がどれだけ丁寧に説明してくれるかをチェックしましょう。
良い矯正歯科医は、患者の疑問や不安に真摯に向き合い、分かりやすく説明してくれます。治療計画、期間、費用、リスクなどについて、詳しく説明してくれるかどうかも重要なポイントです。
設備や技術の最新性
3Dスキャナーやデジタルシミュレーションなど、最新の設備を導入している歯科医院は、より精密な診断と治療計画を立てられる可能性があります。
例えば、iTero(アイテロ)のような3Dスキャナーを使用すれば、従来の型取りよりも正確に口腔内の状態を把握でき、患者の負担も軽減できます。
アフターケアの充実度
矯正治療は長期間にわたるため、アフターケアの充実した歯科医院を選ぶことも大切です。
定期的なメンテナンスや、治療後の保定期間のサポート体制が整っているかどうかを確認しましょう。
まとめ:裏側矯正で後悔しないために
裏側矯正は、見た目を気にせず矯正治療を受けられる素晴らしい選択肢です。しかし、メリットとデメリットを十分に理解した上で、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
この記事でご紹介した7つの特徴と選び方のポイントを参考に、ぜひ満足のいく矯正治療を実現してください。
矯正治療は、単に歯並びを整えるだけでなく、10年後、20年後の口腔健康にも大きく影響します。長期的な視点で、自分に最適な矯正方法を選びましょう。
当院では日本矯正歯科学会認定医としての専門知識と技術を活かし、患者様一人ひとりに合わせた最適な矯正治療をご提案しています。裏側矯正についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ無料矯正相談にお越しください。あなたの理想の笑顔づくりをサポートいたします。
詳細は三宮Lulu矯正歯科のウェブサイトをご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。
三宮Lulu矯正歯科 院長 竹内 優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会