矯正治療中の食事に不安を感じていませんか?
矯正治療を始めたばかりの方、あるいはこれから始めようと考えている方の多くが「何を食べればいいの?」という疑問を抱えています。
装置をつけた直後は歯が敏感になり、噛むのがつらくなることも少なくありません。また、「装置が壊れてしまうのでは?」という不安から、食事を楽しめなくなってしまう方もいらっしゃいます。
しかし、適切な食材選びと工夫をすれば、矯正中でも快適に食事を楽しむことは十分に可能です。実際、多くの患者様が矯正治療中も豊かな食生活を送っています。今回は、矯正治療中におすすめの食べ物や避けるべき食品、そして食事のコツまで詳しく解説します。
矯正中に食べやすいおすすめの食べ物
矯正装置をつけた直後から1週間程度は、歯が動くことで痛みを伴うことが多いです。
この期間は歯への負担を少なくするため、できるだけやわらかい食べ物を中心にすると良いでしょう。

噛まずに食べられる食べ物
矯正直後やワイヤー調整後は、歯に強い圧力がかかるため、痛みを感じやすくなります。この期間は、できるだけ噛まずに食べられる食品を選びましょう。
「おかゆ」や「雑炊」、「リゾット」は米がやわらかく、スープを含んでいるため飲み込みやすいです。味付けを変えたり具材を加えたりすることで、バリエーション豊かに楽しめます。
「スープ」や「ポタージュ」も、食材をミキサーにかけることで噛まずに栄養を摂ることができます。また、「茶碗蒸し」や「ヨーグルト」、「ゼリー」は口当たりがなめらかで、痛みがあるときでも負担が少なく食べやすいのが特徴です。
歯に優しく栄養をとれる食品
痛みがあるときでも、タンパク質やビタミンをしっかり摂ることが大切です。
「白身魚」(煮魚、ムニエル)は脂肪分が少なく消化が良いため、矯正中に最適なタンパク質源です。「ひき肉料理」(ハンバーグ、つくね)は、噛む必要が少なく、やわらかく仕上げることができるためおすすめです。
また、「卵料理」(オムレツ、スクランブルエッグ)は調理方法次第でより食べやすくなり、栄養価も高いため、積極的に取り入れましょう。「豆腐料理」も、そのままでも冷奴などの形で食べられますし、調理法を工夫すればさまざまな料理に活用できる万能な食材です。
やわらかく調理できる食材
「うどん」もやわらかい食べ物の一つです。煮込みうどんを選べば噛み切る必要がなく、食べやすいでしょう。味噌煮込みうどんやうどんサラダなど、さまざまなアレンジが可能です。
「煮物」も、やわらかく煮込むことで食べやすくなります。「バナナ」や「キウイ」などのやわらかいフルーツも、矯正中の食事として人気があります。
矯正中に避けるべき食べ物
矯正治療中の食事で、注意したい食品があります。
「矯正装置を壊したり、外したりしやすい固い食べ物」「矯正装置にくっついてしまう粘りのある食べ物」「挟まりやすい食べ物」などは避けたいものです。矯正装置に慣れて食べられるものが増えていく中でも、矯正装置を壊してしまう可能性がある食べ物は避けた方が良いでしょう。
硬い食べ物
せんべいなどの硬い食品は、噛む際に強い力がかかることでブラケットが割れたりワイヤーが曲がったりするリスクが高くなります。これらの食品は矯正装置に過度な負荷をかけるため、治療期間中は控えることが賢明です。
「ナッツ類」についても同様の注意が必要です。アーモンドやクルミなどは小さくても噛むと硬く、装置に予想以上の負荷を与えてしまいます。また、「氷」やアイスの塊を歯で砕くことは絶対に避けるべきです。ブラケットの接着部が剥がれる恐れがあるからです。
「リンゴ」などの固い果物も直接噛むとワイヤーが歪む原因となります。リンゴは丸かじりせずに、すりおろしてヨーグルトなどと一緒にするなど、ひと手間くわえると食べられる食材が増え、矯正中の食事制限にストレスを感じにくくなります。
粘着性が高い食べ物
「キャラメル」、ヌガー系キャンディなどの粘着性の高い食品は、糊のようにブラケットやワイヤーに絡まり、一気に外れてしまうことがあります。
これらの食品は矯正装置に深刻なダメージを与える可能性があるため、治療期間中は避けた方がよいでしょう。「ガム」、「グミ」なども長時間口内に残り、装置に張り付いて除去が困難になります。
「餅」や「団子」などのもち類は伸びる食感で装置に絡みつきやすく、矯正器具を浮かせる原因となることがあります。
歯や隙間に詰まりやすい食べ物
「ラーメン」や「蕎麦」などの細い麺類、「アスパラ」、「えのき」などの繊維質の多い食材は、矯正装置の間に詰まりやすくなります。
歯とワイヤーの隙間に食べかすが溜まると、プラークが形成されやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。装置周辺の清掃が困難になることで、炎症を起こしてしまうことも珍しくありません。
「コーン」や「ポップコーン」などの粒状の食品は、歯間に入り込みやすい特徴があります。「セロリ」や長いネギなどの繊維質の高い野菜は、細い繊維がワイヤーに絡まってしまう恐れがあります。「ごま」や小麦系のクラム(パン粉など)も、細かな粉が装置下に侵入しやすい食品です。

矯正中の食事で気をつけるべきポイント
矯正治療中は、食べ物の選び方だけでなく、食べ方にも注意が必要です。
食材の大きさや調理方法を工夫する
矯正中は、前歯で噛み切る動作が難しくなります。そのため、食材はできるだけ小さくカットし、やわらかく煮込むなどの工夫が必要です。
パンはそのまま食べるのではなく、スープに浸してやわらかくすると噛む負担が減ります。食材を「すりおろす」「小さくカットする」「やわらかく煮込む」「やわらかい食材を選ぶ」といった調理法の工夫で、食べられるものが増えていきます。
ゆっくり食べる
矯正装置に負担をかけないためには、一口の量を少なめにしてゆっくり食べることが重要です。
一度に多くの食べ物を口に入れると、装置に食べ物が詰まりやすくなります。特にワイヤー矯正の場合、細かい食べかすが挟まると、取り除くのが大変です。食べる際は、よく噛むことを意識しながら、少量ずつ口に運びましょう。
こまめに水を飲む
食事中にこまめに水を飲むことで、食べかすを流しやすくなります。
特に装置の隙間に挟まりやすい細かい食材を食べるときは、水を飲む習慣をつけると口内を清潔に保てます。外出先で歯磨きができない場合でも、水で口をゆすぐことで、ある程度の汚れを落とすことができます。
矯正中の食後ケアの重要性
矯正治療中は、食後のケアを徹底することが重要です。
装置の周囲に食べ物が詰まると、虫歯や歯周病のリスクが高まり、治療期間が延びる可能性もあります。特にワイヤー矯正では、ブラケットの周囲に汚れが溜まりやすいため、毎食後に歯磨きをする習慣をつけることが大切です。
食後は必ず歯磨きをする
食べかすが歯と歯の間に残ったまま、マウスピースを装着すると虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。
通常、マウスピースを装着していない状態であれば、食べかすは飲み物を飲んだときや口をゆすいだ時に除去されることがあります。しかし歯磨きをせずにマウスピースを装着することは、「フタをする」ことになるので、水や唾液に食べかすが触れず、流されていくことはありません。
虫歯や歯周病は、マウスピース矯正を中断して治療を行わなくてはいけないので、矯正期間も延びてしまうことになります。矯正期間を延ばさないためにも、マウスピース矯正中は食後の歯磨きを徹底する必要があります。
正しい歯磨きの方法を実践する
矯正専用の歯ブラシを使用し、装置の隙間に入り込んだ汚れをしっかり落としましょう。
また、ワンタフトブラシを活用することで、細かい部分の清掃がしやすくなります。デンタルフロスや歯間ブラシも併用すると、食べかすを効率的に取り除くことができます。
学生や社会人だと、昼食後に歯磨きをするほどの時間がないときは、マウスウォッシュのみで代用する方もいるようですが、マウスウォッシュでは、歯の隙間の食べかすが取れることはないので、基本的におすすめはしません。しかし、食後に何もしないよりは、少しでも口の中を清潔にした方がいいので、どうしても時間がない場合はマウスウォッシュを使っておいて、時間が取れたら歯磨きをするようにしましょう。
矯正中でも栄養バランスを崩さないために
矯正治療は長期に渡るため、バランスの整った食事は欠かせません。
痛みが出やすい硬い食べ物を避けようとするあまり、豆腐やゼリー飲料などの極端にやわらかい食事しか摂れていない方も少なくありません。しかし、栄養のバランスの偏った食生活を続けると体調を崩すリスクがあります。
タンパク質をしっかり摂る
やわらかい食材の中にも、タンパク質が豊富なものは多くあります。
白身魚、ひき肉料理、卵料理、豆腐料理などを積極的に取り入れることで、必要な栄養素を確保できます。
ビタミン・ミネラルを意識する
やわらかく煮込んだ野菜、スムージー、ペースト状の食品を活用することで、噛む負担を軽減しながら栄養をしっかり摂取することができます。
痛みが強いときは、栄養補助食品を活用するのも一つの方法です。

まとめ|矯正中でも食事を楽しむために
矯正治療中の食事では、装置に負担をかけないよう、やわらかい食材を中心に選ぶことが大切です。
特に、痛みがあるときは無理に噛まずに済む食事を取り入れることで、快適に過ごすことができます。反対に、固い食べ物や粘着性の高い食材は、装置の破損やトラブルの原因となるため避けるようにしましょう。
食後のケアも欠かさず行い、矯正治療をスムーズに進めることが大切です。正しい知識を身につけ、矯正期間を快適に過ごしましょう。
三宮Lulu矯正歯科では、矯正治療を患者様の10年後、20年後、さらに先の人生を豊かにする治療方法だと考え、一人一人の患者様と真摯に向き合って治療に臨んでいます。日本矯正歯科学会認定医としての知識と技術を持つ院長が在籍しており、大阪大学歯学部附属病院矯正科での6年間の経験を活かした高い専門性と幅広い対応力を有しています。
矯正治療中の食事に関するご相談や、矯正治療全般についてのご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。無料矯正相談も実施しております。
詳細はこちら:三宮Lulu矯正歯科

著者情報
三宮Lulu矯正歯科 院長 竹内 優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会
