歯並びが気になる人が知っておくべき基本知識
歯並びの悩みを抱える人は多いものです。鏡を見るたびに気になる前歯のガタつき、写真を撮るときに思わず口を閉じてしまう癖、人前で大きく笑えない…。
そんな悩みを抱えながらも「矯正は高額だし、痛そう」「大人になってからでは遅いのでは」と二の足を踏んでいる方も少なくないでしょう。
実は、歯並びの改善方法は矯正治療だけではありません。今日は、矯正治療以外の選択肢も含めて、歯並びの改善について専門的な視点からお伝えします。
あなたの歯並びの状態によっては、必ずしも本格的な矯正治療が必要ない場合もあるんです。
不正咬合とは?専門医が解説する歯並びの問題
歯並びの問題を医学的には「不正咬合」と呼びます。これは単に見た目の問題ではなく、健康面にも影響を及ぼす可能性がある状態です。
不正咬合には主に3つのタイプがあります。上の歯が前に出ている「上顎前突(出っ歯)」、下の歯が前に出ている「下顎前突(受け口)」、そして前歯が噛み合わず奥歯に負担がかかる「開咬」です。
これらの問題を放置すると、単なる見た目の問題だけでなく、食べ物が噛みにくくなったり、歯周病のリスクが高まったり、口臭の原因になったり、さらには顎関節に負担がかかるなどの健康上の問題が生じる可能性があります。
歯科疾患実態調査によると、12~15歳で叢生(乱ぐい歯)のある子どもは、平成17年の34.5%から平成23年には43.8%に増加しています。つまり、歯並びの問題は現代社会でますます増えているのです。
では、このような不正咬合は矯正治療なしで改善できるのでしょうか?
矯正なしで歯並びを改善できるケース
結論から言うと、歯並びの改善には矯正治療が最も効果的ですが、状態によっては矯正以外の方法で改善できるケースもあります。
特に子どもの場合、成長過程で自然に改善する歯並びの問題もあります。例えば、正中離開(前歯の間に隙間がある状態)は、ある一定の年齢を過ぎると自然に改善することがあります。
口腔習癖の改善による効果
歯並びの乱れは、不適切な口腔習癖が原因となっていることが少なくありません。例えば、口呼吸や舌の位置が悪い「舌癖」、指しゃぶりなどの習慣が歯並びに悪影響を与えることがあります。
特に「ポカン口」と呼ばれる、口が常に開いている状態は、舌の位置が正しくないことが原因となっていることが多いのです。
舌は本来、上顎の前方部分(口蓋)についているべきですが、舌癖がある人は舌が下がっていたり、前歯を押していたりします。これが歯並びを乱す原因になるのです。
このような習癖を改善するトレーニングを行うことで、特に成長期の子どもであれば、歯並びが自然に改善する可能性があります。
あなたは自分の舌の位置を意識したことがありますか?
マイオブレースによる早期予防矯正
マイオブレースという取り外し式の装置を使った予防矯正治療も、完全な矯正治療とは異なるアプローチです。これは特に3~15歳の子どもに効果的で、不正咬合の根本的な原因に働きかけることを目的としています。
マイオブレースは、1日1時間と夜間就寝中に装着する取り外し可能な装置で、間違った口腔習癖を改善し、顎の発達や位置を整え、歯並びを自然に改善する効果が期待できます。
このシステムは、鼻呼吸、正しい舌の位置、正しい飲み込み方、唇を閉じた姿勢などを教えることで、顎が本来の大きさまで十分に発達するよう導きます。その結果、すべての歯が収まるための十分なスペースが確保され、ブラケットを使用しなくても自然とまっすぐな歯が生えることが期待できるのです。
ただし、これはあくまで予防や早期治療のアプローチであり、すでに永久歯が生えそろった後の重度の不正咬合には効果が限定的である点に注意が必要です。
部分矯正という選択肢
完全な矯正治療ではなく、気になる部分だけを改善する「部分矯正」という選択肢もあります。特に前歯など、見た目に影響する部分だけを矯正することで、治療期間の短縮やコスト削減が可能になることもあるのです。
部分矯正は、歯並びの問題が限定的な場合や、見た目の改善を主な目的とする場合に検討できます。例えば、前歯の軽度のガタつきや、八重歯の改善などに効果的です。
部分矯正のメリットとデメリット
部分矯正の最大のメリットは、治療期間が短く、費用も抑えられる点です。また、矯正装置の装着範囲が限られるため、日常生活への影響も最小限に抑えられます。
一方で、部分矯正では咬み合わせ全体のバランスを調整することが難しいため、見た目は改善しても機能面での問題が残る可能性があります。また、部分的な調整によって他の部分に負担がかかり、将来的に別の問題が生じるリスクもあります。
部分矯正を検討する際は、歯科医師と十分に相談し、自分の状態に適しているかどうかを見極めることが重要です。
あなたの歯並びの状態によっては、部分矯正で十分な効果が得られるかもしれませんね。
セラミック治療による見た目の改善
矯正治療ではなく、セラミック治療によって歯並びの見た目を改善する方法もあります。これは歯を移動させるのではなく、セラミックの被せ物やラミネートベニアと呼ばれる薄い板を歯の表面に接着することで、見た目の歯並びを整える方法です。
セラミック治療は、短期間で見た目の改善が可能で、軽度の歯並びの乱れや、歯の形や色の問題も同時に解決できるというメリットがあります。
セラミック治療の適応と限界
セラミック治療は、軽度の歯並びの乱れや、歯の形や色の問題を抱えている場合に適しています。特に、前歯の軽いガタつきや、歯と歯の間の隙間、歯の形や大きさの不揃いなどの改善に効果的です。
しかし、この方法には限界もあります。重度の歯並びの乱れや、咬み合わせの問題がある場合には適していません。また、健康な歯を削る必要があるため、若い方や健康な歯を持つ方には慎重な検討が必要です。
さらに、セラミックは経年劣化するため、将来的には交換が必要になる可能性があることも理解しておく必要があります。
矯正治療が必要なケースとその種類
ここまで矯正以外の方法をご紹介してきましたが、やはり多くの不正咬合のケースでは、矯正治療が最も効果的な解決策となります。特に以下のような状態では、矯正治療を検討する必要があるでしょう。
叢生(歯がガタガタに並んでいる状態)が重度の場合、上顎前突や下顎前突が著しい場合、開咬や過蓋咬合(噛み合わせが深すぎる状態)など、咬み合わせに問題がある場合は、矯正治療が必要となります。
主な矯正治療の種類
矯正治療には主に以下の3種類があります。
まず最も一般的なのが「ワイヤー矯正」です。歯の表面または裏側にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、ワイヤーの力で歯並びを整えていく方法です。表側矯正、裏側矯正、ホワイトワイヤー矯正など、様々なバリエーションがあります。
次に「マウスピース矯正」があります。インビザラインなどのマウスピース型の矯正装置を使用して歯並びを整える方法で、取り外しが可能なため食事や歯磨きの際に便利です。
そして「コンビネーション矯正」は、マウスピース矯正とワイヤー矯正を組み合わせた治療法です。それぞれの長所を活かした治療が可能になります。
矯正治療は基本的に自費診療となるため、治療費用が高額になる場合があります。また、治療期間が長引く可能性が高く、矯正装置による痛みや圧迫感があることも理解しておく必要があります。
さらに、歯並びを整えるために、やむを得ず健康な歯を抜く場合もあることを知っておきましょう。
歯並びの改善で得られるメリット
歯並びを改善することで、見た目の向上だけでなく、様々な健康上のメリットが得られます。
まず、噛み合わせが良くなることで、食べ物をしっかり噛めるようになり、消化の促進や栄養吸収の向上につながります。また、歯磨きがしやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
さらに、顎関節への負担が軽減されるため、顎関節症の予防にもつながります。これは頭痛や肩こりの軽減にも効果があるとされています。
心理的・社会的なメリット
歯並びの改善は、心理的・社会的な面でも大きなメリットをもたらします。実際、7割以上の人が歯並びで第一印象が決まると考えているというデータもあります。
歯並びが良くなることで、自信を持って笑えるようになり、コミュニケーションが活発になります。就職活動や社会生活においても、良い印象を与えることができるでしょう。
歯並びのコンプレックスから解放されることで、精神的なストレスも軽減されます。これは生活の質の向上にもつながる重要な要素です。美しい笑顔は、最高のメイクアップです。そして健康な歯並びは、その笑顔の土台となるのです。
歯並び改善のための専門家への相談
歯並びの改善を考える際は、まず専門家に相談することが重要です。歯科医院での検査と診断によって、自分の状態に最適な改善方法を見つけることができます。
特に矯正治療は原則自費診療であるため、様々な種類の治療方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、セカンドオピニオンやサードオピニオン、つまり複数の歯科医院の意見を聞くことをおすすめします。
Lulu矯正歯科の取り組み
神戸市中央区にあるLulu矯正歯科では、矯正治療に力を入れています。私は大阪大学附属病院矯正科に6年間在籍し、様々な症例を経験してきた日本矯正歯科学会の認定医です。
同院では患者の症状だけでなく、日常生活や将来計画も考慮した上で、最適な治療計画を提案しています。西神中央、伊川谷、学園都市を含む西区・須磨区・垂水区から多くの患者が来院しています。
Lulu矯正歯科での相談後、セカンドオピニオンやサードオピニオンを求めることも可能ですし、Lulu矯正歯科自体をセカンドオピニオンやサードオピニオンとして利用することもできます。
歯並びに関する悩みがある方は、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。あなたの状態に最適な改善方法が見つかるはずです。
まとめ:あなたに最適な歯並び改善法を見つけよう
歯並びの改善には、矯正治療が最も効果的ですが、状態によっては矯正以外の方法で改善できる可能性もあります。
子どもの場合は、口腔習癖の改善やマイオブレースによる早期予防矯正が効果的なケースもあります。また、軽度の歯並びの乱れであれば、部分矯正やセラミック治療という選択肢もあります。
しかし、重度の不正咬合や咬み合わせに問題がある場合は、ワイヤー矯正、マウスピース矯正、コンビネーション矯正などの本格的な矯正治療が必要になることが多いでしょう。
歯並びの改善は、見た目の向上だけでなく、健康面や心理的・社会的な面でも大きなメリットをもたらします。
自分に最適な改善方法を見つけるためには、専門家に相談し、複数の意見を聞くことが大切です。あなたの歯並びの悩みが解消され、自信を持って笑顔になれる日が来ることを願っています。
歯並びに関するご相談は、神戸市中央区のLulu矯正歯科でも承っております。お気軽にご相談ください。
著者情報
三宮Lulu矯正歯科 院長 竹内 優斗
[経歴]
日本矯正歯科学会 認定医
近畿東海矯正歯科学会
インビザライン プラチナプロバイダー
兵庫県歯科医師会
神戸市歯科医師会
神戸市西区歯科医師会